東京23区での貸し事務所体験

以前勤めてた会社は、7階建ての貸しビルだった。そのうち、3階から7階までを全フロア貸し事務所として借りるほど景気のよい会社だったが、私が入社して三ヶ月で、諸事情により、収益が一気に急下降。半年後には、殆どが会社都合とはいえ、社員の半分が退職するという事態にまで発展。そうなると、それまで展開していた事務所の殆どは当然不必要になります。一応、本社機能は別ビルにあったので、そちらは確保。そして、私達営業部が入っていた、7階建てのビルは1フロアを残して、徹底と言う事に。

さて、そうなると、困るのが、そのビルのオーナーの方。当時、今ほど景気が悪くは無かったが、未だ景気は回復の兆しを見せず、そんな中、ビルのほぼ半分の貸し事務所がいきなり、空室となる事態に。そのオーナー夫妻は当時、ビルの一階にて、店舗営業していたのですが、結局その騒動の間も会社に残る事を決めた私は、その方々とすれ違うたびに、心中察すると、何だかとても悪い気がしたものです。現実は、単なる新人平社員なのですけれども、すれ違い、挨拶するたびに、ニコニコ笑顔を返すご夫婦に何だかとても申し訳ない気持ちになってしまうのでした。

しかし、実はその笑顔には、訳があったのです。入社当時、かなり景気の良いと思っていた会社の経営状態は実は火の車。給料の遅延までがしばしば起きていたことまでわかりました。そんな状態なので、当然貸し事務所の家賃も延滞気味。しかも、そんな会社に20年近くも居座られていたので、内部もかなり老朽化が進んでおり、私の会社が居座り続けていることがビルオーナーの悩みの種だったのでした。そんな折、その問題児が殆どのフロアを一気に返却。今までの諸問題と、老朽化を盾に保証金も返還せず。そして、そのお金を元に大規模リフォームを慣行、気が付けば、私の会社が未だいるフロアは以外は全て見た目も機能も充実し、更に家賃もより充実という展開に。数年後、私がいた会社はそのビルからなくなりましたが、ビルオーナーは、今も笑顔で暮らしていると風邪の噂で聞きました。

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